私がまだ若かりし頃、バイクで北海道へツーリングに行き、道内を横断する形で旅をしていました。
北海道へは2度、ツーリングに行きましたが、最初は自走(高速道路を最低限の区間使い、新潟からは一般道を北上し、青函連絡船で北海道へ)2度めはモトとレールという電車による移動(バイクを電車に載せて、人間は寝台列車に乗る、という夢のような電車がありました)で、北海道を堪能しました。
基本、宿泊はテント泊で、疲れたら無理せず民宿泊。
ソロツーリングが好きで、北海道へもほぼ1人でのツーリングでした。
函館から富良野、知床をまわって、同じようなルートを使って函館に戻ってきます。
知床でキャンプ場にテントを張った夜のこと。
キャンプ場には、いろんな交通手段の方々がいて、旅慣れている方は色んな人に声をかけて、火を囲んで語り合っています。
私も誘いを受けて、ある方々の輪に入れてもらいました。
バイクの方が7割、自転車の方が3割くらいの集団です。
不思議なもので、1人で旅している人は1人で旅している人達で集まり、何人かで旅している方は何人かで旅している人たちで集まる傾向がありました。
私が参加させてもらった輪の中でのこと。
おもむろに自転車で道内を回っている、という同じ年齢くらいの男性が、
「バイクでツーリングしている人は格好良いですよね。対向しくるライダーに対して、ピースサインをするでしょ?自転車でもそういうのがあったら良いな、と思う」
と。
確かに、ツーリングをする時の楽しみに、対向してくるライダーに『安全運転で』とか『こんにちは』という気持ちを込めて、ピースをします。
その彼が言うには、自転車ではそういうのが無いそう。
理由を聞くと
「自転車は動力が自分の足だから、基本必死にペダルを漕いでるから、そんな余裕はない」
というのが大きな理由だ、という持論を展開していました。
そして、自転車で旅する彼の主張がこうだ。
「バイク乗りは『ライダー』って言うじゃないですか。自転車でツーリングしている人たちをあなた方はなんと呼びますか?」
と聞いてきたので、もちろん全員一致で
「チャリダー!!」
と答えます。(チャリダーって今でも言うのかな?)
すかさずその彼は
「やめてください。なんかダサいじゃないですか。かたや『ライダー』、かたや『チャリダー』って、同じ2輪なのに、なんか不公平感がある」と。
「じゃぁ、なんて言えばいいの?」
と聞くと
「サイクリスト。サイクリストと呼んでください」
と主張していました。
今までは、自転車のツアラーに対して、あまり気にもとめていませんでしたが、その夜のことがあってから、サイクリストに出会うとピースを送ることにしたんです。
すると、反応がすこぶる良かった。
けっこうな確率で、声を上げてピースが返ってきたり、「お気をつけて」と言葉が返ってきたり。
私は30歳でバイクを手放してしまったので、なかなかツーリング事情に明るくありませんが、今でもそういうのが残っていればいいな、と思っています。