私の仕事は、大阪本社では出張業務が多いんです。
出張先では火力発電所や化学プラントなどに入り、作業をします。
いわゆる3K職場です。
出張期間は平均2週間程度。
長期だと3ヶ月だったりします。
出張先でそういう現場に入ると、朝はラジオ体操があります。
その現場の各エリアごとに従事している人たちが集まり、一斉にラジオ体操をします。
それはそれは見ごたえのある風景ですが、各人の表情はたいてい曇っています。
と言いますのも、結構な重労働が続いて疲労困憊だからです。
ラジオ体操が終わると、今度は肩もみ・肩たたきが始まります。
私は結構この『肩もみ・肩たたき』が得意だと思っていました。
力の入れ具合も適度だと思っていたし、ツボを押してあげるのが上手いほうだ、と勝手に思っていました。
現場は9割9分が男性で、女性がほぼいません。
ですから、けっこうな力を入れて『肩もみ・肩たたき』をしても、痛がるどころか喜ばれるのです。
ある日、私の勤める会社の社員で、女性の社員がそんな『男軍団』の中に混じって現場作業をすることになりました。
当然のことながら、毎朝その彼女もラジオ体操をして、『肩もみ・肩たたき』をすることになります。
彼女の現場初日に、私が彼女の『肩もみ・肩たたき』をすることになったんです。
いつものように、疲れた体をだましだまし動かしてラジオ体操をし、『肩もみ・肩たたき』に。
目の前には華奢な体の女性社員がいます。
いつもなら、ある程度気遣いできる私ですが、早朝に、それも疲労がたまった体ではその『気遣い』も出来ず、いつもの『男の肩』にするように、力を入れて肩もみを始めました。
すると、彼女は体をよじって私の『肩もみ』から逃げ、一言。
「痛いよ!!」
「あっ。ゴメン!痛かった?」
と間抜けな返事をして、その後平謝り。
『肩もみ・肩たたき』に自信を持っていた私は、その事があってから一気に自身がなくなり、しばらくはどの現場に行っても力加減に悩むこととなりました。
ほぼ99%は『男軍団』のガチガチの肩を揉みほぐすので、力は強いほうが喜ばれます。力加減に悩んでいた頃は、擦る程度の力加減で『肩もみ・肩たたき』をして「もっと力入れてやってくれ!!」と言われたり、中途半端な力ですると「こそばいわ」と注意され、残っていた自信はもろくも崩れ去りました。
今は『注意されない程度の力』を体得し、注意されることもなくなりました。
人によって最適な『力加減』って違うので、難しいですね。
それでも私は『肩もみ・肩たたき』をするのは好きです。
それよりもされる方は更に好きなんですけどね。
女性への『肩もみ・肩たたき』は力加減に注意すべし、です。