今週のお題「いも」
『いも』について何か記事になるようなことはないか、と思案してみたが、なかなか思い当たらない。
中学校を卒業するまでは、家が貧しくて食べ物も野菜中心。『いも』はじゃがいもが大活躍していました。
じゃがいものフライ、味噌汁など、じゃがいもは食卓にヘビーローテーションでの登場でした。
そして、じゃがいも以外で何かないか、と思い起こしてみると、ありました。
それは『大学いも』。
小学校の低学年頃、父親の給料日は外食の日と決まっていました。
今のようにチェーン店もなく、大衆食堂やお好み焼き屋、街の中華屋さんなど、食べるジャンルに合わせて行く店を決めていました。
たいていは、価格も安い大衆食堂に行く確率が高かったのですが、父親の機嫌の良い時には中華屋さんに行くことが出来たんです。
その中華屋さん、今となっては屋号を忘れてしまいましたが、なかなか美味しかったように記憶しています。
メニューには、芙蓉蟹・餃子・天津飯など、小学校低学年には少々読めない漢字が連なっており、私には選択権がありません。いつも焼き飯か中華丼ばかり。
そんなある日、少し漢字が読めるようになった私は、いつものように焼き飯を食べた後、店内のメニューを眺めていました。
すると、目に飛び込んできたのが『大学いも』でした。
『ん?大学いもってなんやろ?大学生が食べるいもか?そもそも食べれるんか?』
と頭の中は疑問符だらけ。
親に「あそこに書いてる”大学いも”ってなんなん?」と聞くと、
「大学生しか食べられへん”いも”や」
と予想通りの答え。少しでも出費を抑えたい親の気持ちが表れていたんだと思います。
そのやり取りを聞いていた店のご主人が、
「坊主、大学いも食べてみるか?」
と、売上を上げたい気持ちありありの言葉が。
その時、親はよっぽど気分が良かったのか、
「それじゃぁ、食べてみるか?」と。
かくして”大学いも”初体験しました。
その時の衝撃はいまだに忘れられません。
表面のパリパリとした食感と、中のさつまいもの甘さが、小学生の私には刺激的でした。
それ以来、その中華屋さんに行くと、私と親の間で”大学いも”の攻防があり、店のご主人も加わり、ちょっとした騒動になることも。それ以来、明らかに中華屋さんに行く回数が減りました。
あれから40年以上経ちますが、某大手回転寿司チェーンに行くと、シメに必ず『大学いも』を食べています。初めて食べた時のような感動はありませんが、やはり美味しいですね。ただ、回転寿司チェーンの『大学いも』は冷たいのが難点です。
出来たてぬくぬくの『大学いも』をまた食べてみたいです。