先日、仕事帰りで電車に乗っていた時の事。
中書島駅で宇治線に乗り換えた際に、座席に座り発車を待っていました。
私はいつも本を読んでいるか、音楽を聞きながらスマホゲームをして電車に乗っています。
その日は音楽を聞きながらスマホゲームをして座っていました。
仕事帰りにしてはラッシュ時間を少し過ぎており、乗客はほぼ座っていて、立っている人は少しだけ。
そこへ賑やかな歩き方をした女性(推定60歳前後)が私の横に座りました。
(賑やかな歩き方とはどんな歩き方か、と問われると説明しにくいです。あくまでも私の印象です。)
その女性(以下Rさん。もちろん面識なし)は、座席に座るなり私の顔をしげしげと見つめて
「ひょっとしてササイさん?」
と私に話しかけてきました。
いつもなら『無愛想』を装い、あまり笑顔なく受け答えをするのですが、今回もそんな気持ちで『無愛想』に答えました。
「違います」
と。
「あぁ、ごめんね〜。マスクしてたら分かれへんもんなぁ。」
と、それで会話は終わったと思っていました。
その後、Rさんは何やら手荷物をゴソゴソ。
「あれ?おかしいなぁ。切符がないわ。」
ゴソゴソ、ゴソゴソ。
「今日は三条まで行って、三条から340円の切符買ってんけど、あれへんねん」
と、独り言のトーンではなく、誰かに語りかけている話し方。
私は音楽を聞く際は、周りの音が聞こえる程度の音量で聞いています。
音漏れで迷惑をかけるのも嫌やし、周囲の声が聞こえないと安全面で良くないと思っているから。
ですので、Rさんの言葉が耳に入ってきます。
で、ついつい左横を向いてしまったんです。
するとRさん、私の方を見ながら話をしています。どうやら会話は私に投げかけられていたよう。
そこからRさんのマシンガントークが開催されました。
中書島駅発車前に
「家は宇治橋通り商店街にあり、一人暮らし」
という情報を聞かされ、その時点では
『あぁ、私と同じ駅まで行くんや。かなんなぁ』
という気持ち。
もともと人見知りな私は、面識のない人と会話するのが苦手な方なんです。
電車が動き出し、Rさんのその日の行動を大まかに知ることとなり、結婚・離婚歴も聞かされ、仕事の話などなど、Rさんの(一方的な)会話は続きます。
京阪電車宇治線は15分で終点の宇治駅に着きます。
その間、まぁ喋る喋る。
ただ、それだけ喋っていても嫌な気分になりません。
というより、話をするのが楽しいとすら感じるようになっています。
2年ほど前までスナックをしていた、と言っているので会話は面白い。
面白いんですが、話が急にあっちに行ったりこっちに行ったりと、ついていくのが大変。それでもついつい引き込まれていきます。
Rさんは私より2歳上の56歳。本人曰く
Rさん 「いつも若く見られるねん。若く見えるやろ?」
『いやいや、年相応に見えるけど』と思いながらも、
私 「ほんまやね、若くみえるわ」
Rさん 「スナックやってた時は、常連客からよく口説かれて大変やったわ。」
私 「もててたんや(話は嫌味がなく心地よさを感じるからかな?)」
Rさん 「でもそれも怖いねんで。誰も客が居れへんときに言われるから」
私 「本気で口説いてんねんな」
Rさん 「すずらん通りの〇〇っていう店のランチは美味しいで」
私 「・・・(ん?口説かれてる話は?)・・・そうなんや」
という具合に、突如話が変わること数回。
電車は宇治駅に着きました。
はぁ、これで解放される、と思ったのも束の間。
「ちょっと、切符がないこと駅員さんに言うわ。ついて来て」
「えっ?なんで?」
「ええやんか。お願いやし」
ということで、改札横にあるインターホンへ。
(ラッシュ時間以外は駅員室に常駐していません)
インターホンでやり取りし、今回はそのまま出ていい、という事になったようで、Rさんは改札を出ました。
これで一人で帰れる、と思ったら甘かった。
これ持って、とRさんの手荷物を渡され、当然のように家の近所まで一緒に歩きました。
普通であればものすごく嫌な気分になったであろう、今回の『マシンガントークおばさん』との遭遇。
しかし、Rさんと別れて家路についたとき、ものすごく気分良く歩けました。
会話の中で人の悪口や、ネガティブな会話は皆無で、(話はポンポン飛びまくっていたけど)会話は面白かったので、また会いたいな、と思える人でした。
Rさんの家も本名も全て知ることになりましたが、今度あった時はこちらから声をかけてみようかな、思える人でした。