私が大阪から京都に移り住んでしばらく経った時の事。
その当時、仕事が忙しく毎日残業の日々が続いていました。
パソコンもOSが『WINDOWS 3.1』が出始めた頃だったと思います。
その時の上司に『ネズミにひかれんときや』と言われたことが、ずっと頭の片隅に残っていて、先日意味を調べてようやく納得しました。
その話をしてみたいと思います。
シチュエーション
その時は、客先の施設内で働いていました。客先と私の会社の者、あわせて10人に満たない程度の人員でした。敷地は広く、山の中にあったため、日が沈むと真っ暗になるような場所です。
少ない人員で多くの仕事をこなす日々が続き、毎日が残業の日々。
まだ週休2日制が一般的ではなかった時代で、まさに仕事漬けの日々でした。
『ネズミにひかれんときや』を言われた時の事
ある時、夜の10時になってもなお、事務所でデータ整理の仕事をしていた時、いつもは最後まで残ってくれている上司が、その時は珍しく「悪いけど先に帰るわ」と。
その時に残っていたのは上司と私の二人だけ。他のものは帰宅していました。
上司が先に帰る事は、あまりに珍しい事だったので、なんだか体がむず痒かった記憶があります。
あぁ、やっと仕事を任せてもらっている、と実感した瞬間でした。
上司が着替えて、いよいよ帰る、という時に上司の口から
「ネズミにひかれんときや」
という言葉が出てきました。
私は頭が仕事の頭になっていたのと、『帰るわな』という言葉を想定していて『お疲れさまです〜』という言葉を用意していたのとで、頭の中が『?????』という状態になりました。
上司はそのまま帰ろうとします。
私は我に返り、すかさず上司を追いかけて
「ネズミにひかれるってどういう意味ですか?」と疑問を問いかけました。
上司はうまく説明できないのか、”何も追いかけて来るほどの事でもないのに”という気持ちだったのか、ハッキリと答えてくれませんでした。
周囲に意味を聞いて見たが・・・
言われた直後には非常に気になった『ネズミにひかれんときや』。
上司と同年代くらいの人たちに聞いてみるも、これまたハッキリした答えは出てこず、この言葉は京都特有の言葉なのか、と訝りもしました。
その頃のインターネットは通信時間ごとに課金される、という今考えると恐ろしい料金システムだったので、迂闊にネットに繋げる事もできず、しばらくは忘れていました。
尊敬する上司が他界されて・・・
数年前、その上司が他界されました。
いろんな事が思い返されましたが、結局その『ネズミにひかれる』の意味を聞けずじまいでした。
上司のことを思い出す度に蘇る『ネズミにひかれる』。
先ほどネットで調べました。(今は何時間ネットに繋げても料金が上がることはありませんからね)
『ネズミにひかれる』の意味
この言葉は慣用句だそうです。
意味は、
「家の中にたった一人きりで、寂しく心細い様子のたとえ」
だそうです。
どうりで、一人取り残されて仕事をしなければならない状況で、その言葉を聞いたなぁ、と述懐しています。
おわりに
上司からはいろんな事を教えてもらいました。
朴訥な喋り方で、物静かな方でしたが、現在、私がその時の上司くらいの年齢になって、改めて上司の偉大さに気付かされます。
上司からは、言葉に関してさまざまな事を教えてもらったので、折を見て紹介していきたいと思います。