私は『にぬき』が好みなんです、と言って、この『にぬき』が通じる人はどれくらいいるのだろう。漢字で書くと『煮抜き』です。
先日、テレビを見るともなしに見ていると、「『煮抜き』は関東では通じない」というナレーションが耳に入ってきました。
えっ?そうなん?という感じになり、テレビに釘付けに。
『煮抜き』とは『煮抜き玉子』を略した言葉。『煮抜き』を知らない人でも『煮抜き玉子』を聞いた時点で勘が良ければピンときますね。
ゆで卵の事です。全国的には何て言うんやろ?『固茹で玉子』?
私は『煮抜き』に慣れ親しんでいるので、『固茹で玉子』の方がよそいき感があります。
私がこの『煮抜き』という言葉を知ったのは、小学校2年生の頃。
両親は毎週日曜日の朝に近所の喫茶店に行くのを楽しみにしていました。
当然、私も親に連れられて喫茶店に行きます。
喫茶店の扉を開けた瞬間「いらっしゃい。いつものでいい?半熟か煮抜きどっちにする?」と美人の奥様からせわしなく声をかけられました。
半熟も煮抜きも知らなかった私は「なにそれ?普通のゆで卵がいい」と、苦笑させてしまう返事をしてしまい、出てきたミックスジュース(ミックスジュースも関東では馴染みがないらしい)のモーニングには、半熟と煮抜きのゆで卵が1つずつトレイに載せられて出てきました。
美人の奥様に「こっちが半熟、こっちが煮抜きやで。どう違うか食べ比べてみ」と言われたのが『煮抜き』・『半熟』という言葉に初めて触れた瞬間です。
私はだんぜん『煮抜き』が好きです。
自分でゆで卵を作る時も『煮抜き』になるように少し長めに茹でてしまいます。
しかし、たまに半熟と煮抜きの中間くらいのゆで卵ができる事があります。その時はテンションがだだ下がりです。
タマゴって生か煮抜きでしか食べません。半熟タマゴも美味しいとは思いますが進んでは食べません。
どうしても『煮抜き』に塩をつけて食べる、あの味には勝てないのです。
あぁ、煮抜きが食べたくなってきました。