私は高校を卒業してから1年間、職業訓練校に通っていました。
その時、大阪の松原市という所で一人暮らしをはじめました。
職業訓練校では『整備科』に入り、大阪の各所から人が集まってきていました。
その中でも異色なのが、和歌山県の橋本市から通っている人がいました。
後に彼とはとても仲良くなるのですが、入学当時はいつもの『超人見知り』が発動し、入学から1ヶ月位は一人でいることが多かったんです。
徐々に周囲と打ち解けることが出来てきた時に、和歌山県橋本市から通学しているFくん、私が一人暮らしをしている、という事を聞きつけ、朝に私の部屋に寄るという日課が始まりました。
後になぜ毎朝私の部屋に寄るようになったのか?と問うたところ、彼いわく
「橋本から来ると、電車の本数が少ないため、授業に間に合う時間に来ようと思うと、1時間早く着いてしまうから、時間潰しのために寄っている」と言っていました。
まぁ、朝の弱い私にとっても好都合でしたので、お互い今で言うウィン・ウィンの関係だったのですね。
今回は和歌山県の方言について書いてみたいと思います。
和歌山県人の印象
私が初めて接した和歌山県人が、そのFくんなので基準はFくんという事になります。
・性格が明るい
・よく喋る
・気が短い
・面倒見が良い
というのが私の和歌山県人に対する印象です。
一人暮らしの部屋に来るときも、廊下を歩いているときから
「♫朝だ♪あ〜さ〜だ〜よ〜♪」
と歌いながら部屋まで来ていました。
彼の明るさが羨ましかったことを覚えています。
『でんでん』
Fくんと喋っていると、方言が興味深かった。
話をしていると時々
Fくん「・・・・・、でんでん良いで」
私「ん?でんでん?なにそれ」
Fくん「”でんでん”は”でんでん”やんか!!」
最初はこの会話の繰り返しでした。
よくよく聞いてみると、和歌山の人は”ざ行”が”だ行”になってしまうそうなんです。
ですので『でんでん』は『ぜんぜん(全然)』と言っていたのだ、と腑に落ちました。
これで終わらないのが関西のいいところ。
私「じゃぁ、でんでん虫は?」
Fくん「”でんでん虫”は”でんでん虫”やんか」
私「それじゃ、”全然無視(ぜんぜんむし)”は?」
Fくん「・・・・でんでん無視」(本人は”ぜんぜんむし”といっているようだが、でんでん虫と聞こえてしまう)
いつもこんな調子でした。
でFくんの口癖が「これやから大阪の人間はたち悪い」でした。
『どうきん』
これも”ざ行”が言えないパターンです。
最初、『どうきん』と言われた時は何度も「えっ?」と聞き返していましたが、何度も聞き返しているうちに、『あっ、そうやった、ど→ぞ やから”ぞうきん”や』とわかるようになりました。
18歳の男が必死で『どうきん』を連呼し、雑巾を探す様は可愛らしかったです。
『ちぇったる』
これも最初、頭の中が「???」となりました。
この言葉を使うシチュエーションは、どこかに遊びに行った際、トイレなどに行きたくなってトイレの場所を聞いた時に使われる言葉。(Fくんがトイレの場所を知っていた、というのが前提)
「トイレに行きたいわ」
「よっしゃ。ちぇったる」
そう、ちぇったる=連れて行ったる、なんです。
私はこの言葉が気に入って、職業訓練校を卒業してからもしばらくは使っていました。
『そっちよりこっちしかいいわ』
一番難解だったのはこれです。
『AよりBしかいいわ』
初めて聞いた時は
『どっちやねん』って感じでした。
例文
『巨人より阪神のほうがいい』
という事を和歌山では
『巨人より阪神しかいい』
と表現します。
面白いですね。
おわりに
和歌山の人は気が短いし、言葉も荒い印象がありますが、とても気さくでフレンドリー。仲間意識が強く、困ったことがあると必ず力になってくれました。(あくまでFさん基準)
方言って楽しいしので、私はものすごく好きです。
最近、和歌山弁に接した事でFくんの事を思い出した次第です。