今週のお題「試験の思い出」
あまり褒められた事ではないのですが、高校生の頃の話です。
私は高校で野球をするために、家から少し離れた高校まで通っていました。
その野球部を、訳あって1年で退部することになり、少々やさぐれていた頃の事。
その頃の私は、高校に通う意欲を失っており、サボまくっていました。
そんな時、担任から
「授業の3分の1以上欠席したら、どれだけテストでいい点数を取っていても留年やからな」
と忠告されました。
普通なら『ヤバい』と思い、改心するところでしょうが、小賢しい私はしっかりと授業ごとに出席数をチェックし、きっちり3分の1ギリギリの出席で、なんとか『テスト勝負』に持ち込んでいました。
授業への出席がそんな状態ですから、中間テストや期末テストは散々な状況か、というとそうでもなかったんです。
これまた憎たらしいくらいにテストの『ヤマ』がことごとく当たり、中間テストだけでその学期の留年ラインをクリアしていました。
そして思い出のテスト。
2年の2学期の期末テストでした。
私の席は窓際の一番うしろの席。その隣に野球部のやんちゃな男Nくんがいました。
彼はあまり勉強ができず(私と一緒で授業中に寝てる)、ほとんどの教科の中間テストも一桁の点数しか取れていません。
あまりにもテストが悪いので、彼は高校生活にピリオドをうとうかどうか悩んでいたそうです。
そんな心理状況で期末テストを迎えたもんですから、態度が投げやりで、全くやる気が見られない。
見かねて私が声をかけてしまいます。
私「おいN!どうしたんや。しっかりとテスト受けんとヤバいんちゃうん」
N「そうやねんけど、今回点数取れんかったら学校辞めるわ」
私「なんでそんな事言うねん。やれるだけやってみいな」
N「・・・。びだくん、頼みがあんねんけど・・・・」
ーーーーーーなんか嫌な予感ーーーーーーーー
N「試験の答案交換してくれ!」
私「!!!へっ?マジで言ってる?どうするん」
N「残り時間が10分の所で答案を交換してほしいねん」
その教科は国語。
仕方なく、その話は聞かなかった事にして期末テストにのぞみました。
残り時間が10分の所で、隣のNが執拗にスネを蹴ってきます。
その執拗さに負けて、私は答案を交換してしまいました。
自己採点で75点の答案。これだけで2学期は赤点を逃れられる点数です。
名前を書く欄にNくんの氏名を私の筆跡で書き、Nくんは私の氏名を書いて交換しました。
Nくんから来た答案を見てびっくり!!
殆どが空欄で、記入しているところもほぼ間違い。
あまりの出来の悪さに、少ない時間内に少しでも答えを書こうか、と思いましたが、筆跡が違うことがバレバレになってしまうので、泣く泣く諦めました。
以降、数学・社会など、いくつかの答案を交換し、彼はその後の高校生活を無事に乗り越えました。
悪いこととは分かっていましたが、今となっては良い思い出になっています。
それから数年後の同窓会で、Nくんと再開しました。
その時にNくんは
「おれが高校を卒業できて、今、こうやって大工になれたのも”びだくん”のおかげや。ありがとう」
と言ってくれました。
中学校からやんちゃくれで、一歩間違えたら警察のお世話になっていたかもしれないNくん。今ではいいお父さんになっているようです。
もう40年近く前の事ですから時効ですね。
良い子は真似しないようにしてください。