今年は梅雨が長く、雨続きでうんざりしていたら、豪雨災害が各地で起こり、なんだか考えさせられる梅雨でした。
その梅雨が開けた途端、猛暑を通り越して”酷暑”という言葉が相応しい、暑い日が続いています。
そんな暑い夏になると思い出す物(言葉)があります。
それは『レーコー』。『レーコー』とは『アイスコーヒー』の事です。
もう、この言葉を使わなくなって30年は経ったでしょうか。
私が小学生だった頃、私の両親は日曜日になるたびに、朝イチで喫茶店へ連れて行ってくれました。目的はモーニングセットを食べるためです。
私が『レーコー』というものに初めて出会ったのはその喫茶店です。
両親が『レーコーモーニング』と言った時に私は喫茶店のオーナーの女性が『れいこ』という名前なんだと勘違いしました。
その日の帰り、両親に『喫茶店のお姉さん、”れいこ”って名前なん?』って聞いた覚えがあります。両親は笑って「レーコーは冷たいコーヒーのことや」と教えてくれました。
小学生の時はコーヒーなんて飲めませんでしたから、もっぱらジュースとトーストで朝食をとっていました。
高校生になって、友人と喫茶店に出入りするようになると、早速『レーコー』を使ってみました。
「レーコー1つ」ってな具合で。
その時はちょっと大人になったような気分になったもんです。
20歳を過ぎると、喫茶店内に『愛す、コーヒー』というキャッチフレーズの書かれたポスターが目立つようになり、その数年後には『レーコー』という言葉は私の周りから完全に消えてしまいました。『アイスコーヒー』に取って代わられた、という感じです。
レスカ(レモンスカッシュ)やオスカ(オレンジスカッシュ)という言葉も聞かなくなりましたね。
というか喫茶店(純喫茶)自体、数が少なくなりました。
また、コーヒーを飲むだけなら、大手ハンバーガーチェーンのコーヒーの方が安いし、気軽に利用できます。
私がよく喫茶店を利用していた頃は、ランチを目当てに行っていたような気がします。その時に、食後の飲み物は?と店員さんに聞かれて「レーコーでお願いします」と。
もうそれが普通の感じだったんですが、『レーコー』から『アイスコーヒー』への遷移期間になると、喫茶店のアルバイトの女子高生に『レーコー』と注文してもキョトンとした顔になる、という状況が度々あり、私は『レーコー』という言葉に愛着があったもんですから、意地になって『レーコー』を使い続けていましたが、世の中の『アイスコーヒー』の流れには勝てず、今では自然に『アイスコーヒー』と言っています。
娘に聞いてみました。
(レーコーは通じないだろうと思って)レスカって知ってる?と。
答えはもちろん、「何それ?」でした。
レーコー・レスカ・オスカって、関西だけだったんだろうか?
どのくらいの年代まで通じるのか?
『レーコー』という言葉を思い出す夏場に、いつも疑問に思っています。