今から40年ほど前の、私が中学生だった頃の話。
勉強はあまり好きではありませんでしたが、成績は普通。
可もなく不可もなくな感じでした。
ただ、英語に関しては全く理解できず、苦しい思いをしていたんです。
そこで、毎月届く学習テキストを1年間契約してもらい、勉強をしていました。
しかし、それでも苦戦していて、どうしても英語は勉強する気になれませんでした。
授業中も、なんせ本人がやる気が無いもんだから、授業はほぼ聞いていない。
加えて、英語を教える先生も生徒がどれだけ騒ごうが、ふざけあっていようがお構いなしに、独り言を言っているかのごとく、授業を進める方だったので、英語を好きになる要素が見当たりませんでした。
私の性格も『お尻に火がつかないとしない』性格なので、学習教材も手つかずのままたまっていました。
中学2年生の後半にもなると進路の事が気になり始めます。
私の家はかなりの貧乏だったので、公立高校しか受験させてもらえない(それさえも危うい)状況だったので、ここでようやく『尻に火がついて』きました。
そこで学習教材を開く気になり、英語の勉強を始めます。
勉強を始めてすぐに躓いたことがありました。
それは学習教材の中に書かれていた『吹き出し』の言葉。
以下のように書かれていました
この吹き出し風の言葉を見て、私の頭の中はこういう理解をしました。
『ケアレ・スミスに注意』。
前後の問題を見ても解説を見ても『ケアレ・スミス』さんは出てきません。
『ケアレ・スミス』さんの登場を見逃したのか?と思い、時間をかけて見返しますが出てきません。
『ケアレ・スミス』さんの何に注意すればいいのか?
『ケアレ・スミス』さんは要注意人物なのか?
という疑問がどんどん頭の中に膨らみ、当然勉強はそこで止まります。
翌日、友達に聞きまくりました。
『ケアレ・スミスさんって教科書に出てきた?』
と。
ケアレとスミスの言葉の間に絶妙な間を持って聞くもんだから、友達ももちろん
「なにそれ?知らんわ」
という返事しか返ってきません。
この『ケアレ・スミスさん問題』、かなり尾を引きました。
この『ケアレ・スミスさん』、皆さんはもう解っていることでしょう。
そう『ケアレスミス』の事です。
意味は『不注意・そそっかしい間違い』などの意味があります。
その当時、私は『ケアレスミス』という言葉さえも知りませんでした。
ですので吹き出しで中途半端な改行で書かれると頭の中が『????』になるのです。
『ケアレ・スミス』ではなく『ケアレスミス』だと知ったのは二十歳を過ぎてからのこと。
整備士からプログラマーに転職し、プログラミングを勉強していた時に、上司から
「ケアレスミスするなよ」
と言われた時に知りました。
それまで『ケアレ・スミス』という人物だと思っていた私は、この上司の言葉に、『ケアレ・スミス』さんって人物じゃないのか?と感じ取り、瞬時に質問していました。
「ケアレスミスってなんですか?」って。
上司は苦笑しながらも丁寧に『ケアレスミス』について教えてくれました。
それが25歳の頃の話。
約10年間わだかまっていた疑問が氷解した瞬間でした。
今では考えられませんよね。
学習教材で改行する位置がおかしいことなんて。
それに、インターネットが発達しているので、疑問に思ったとしてもすぐに検索すれば意味がわかりますもんね。
今でも『ケアレスミス』という言葉を聞くと、その当時のことを思い出します。