今から15年ほど前の話。
仕事が忙しく、子育て時期と重なったこともあって、ストレスが溜まったのか、急に耳が聞こえにくくなりました。
急に聞こえにくなったので最初は『突発性難聴』ではないかと思い、慌てて自宅近所の耳鼻科へ行きました。
症状としては『めまい・難聴(聞こえにくい)』がありました。
聞こえにくいというのはどういう状況だったかというと、水が耳に入ったような感じ。
高音は聞こえるけども、低音が聞こえにくい、という状況。
最初に耳鼻科にかかったとき、突発性難聴を疑って、きつい抗生物質なんかを点滴されて、体がしんどくて2週間も続けたら顔が『ムーンフェイス』になったかのような感覚になり、これはちょっとおかしいで、と思うようになり医師に伝える。
「点滴しても全然症状が良くならない。治療法が間違っているんじゃないか」と。
医師は、口数の多い頼りない感じの医師。「間違ってるんじゃないか」と患者に言われて更に口数が多くなり、落ち着きがなくなっています。
問診をやり直し、心理的な要因も疑われ、アンケートのようなものもさせられて、それでもその時点で医師は問題を見つけられない。
しばらく待合で待つように言われ、再度診察室に呼ばれ、中に入っていくと医師は
「綿h師の診察は『処置なし』です。『処置なし』というのは、耳鼻科的に悪いところが見つからない、ということです。」
と、信じられない言葉が。私は耳が聞こえにくいままなのに。
「近くの総合病院の心療内科に紹介状を書きますので、そちらに行ってみて下さい」と。
にわかに信じられない気分で、後日総合病院へ行くことに。
紹介状を持って総合病院の心療内科を受診すると、女医さんは音叉を持って診察してくれました。すると女医さんから思いがけない言葉が出てきました。
「なぜ心療内科なんやろ?これは明らかに耳鼻科の症状ですね。耳鼻科にカルテを回しますので、耳鼻科を受診して下さい」
『そらそうやんなぁ。俺もそう思うわ』という言葉は飲み込んで、その足で耳鼻科に行く。
耳鼻科の先生も紹介状を見て、一通り検査をしたら、なんら迷うことなく
「メニエル予備軍やね。いい薬があるからそれを飲んでみて」
「先生、やっぱり耳鼻科の症状ですよね。処置なしって言われたんですけど」
「これは誰が見ても『メニエルもしくはその予備軍』やわ。なんで処置なしなんやろな」
という会話が繰り広げられました。
ちなみに”いい薬”とは『イソバイド』でした。巷では悪評高いイソバイドでしたが、私は難なく飲めました。
はぁ、最初の耳鼻科では治療費に2万円近く払って『処置なし』。
総合病院に行くとすぐに病名が分かって、3千円。
さすがにその時は耳鼻科に怒鳴り込みに行ったろか、と思いましたが堪えました。
その時点でその耳鼻科の医師は小学校の校医もしていたので、私の娘になにか不利益があっても困るな、と思ったからです。
医師の技量に差があるのは仕方ないこと。それは分かっています。
しかしこの場合は、その範疇を超えています。
心療内科医が診ても『耳鼻科』の疾患だったのですから。
その医師は現在、その当時の古いビルから新築の医院に移り、今もやっています。
あれから15年、その医師の技量が上がり、私のような苦しい思いをする患者を出していないことを願っています。