私の職場に去年からメンバーに加わってくれた男性(Sさん、50歳)。
手先は器用だし集中力があり、非常に助かっています。
今年の2月、Sさんは出社してきましたが、本人が「どうも起床時から体調が優れない」と自己申告があり、Sさんの顔色を見ていると、確かに体調が悪そうだし、無理させれないという判断で、休んでもらい病院に行くように勧めました。
病院に行くと、どうも原因が分からない、と医師が首を傾げていたらしいのですが、看護師さんとの会話の中で、水分補給が少ないのではないか、という事を医師に言ってくれたらしく、診てもらうと『脱水症状』だと診断されたようです。
冬場でまだ若い年齢から、そこまで思い及ばなかったんでしょう。よくよく聞いてみると、仕事中に水分を摂っているのは500ml程度だと言っていました。
集中すると休憩も忘れて仕事をするので、私が注意してSさんの行動を見て、時間になったら強制的に作業を止めて、休憩してもらうことにしていました。
7月からは後輩の同僚にSさんと組ませて仕事をしてもらいました。
広い建屋内での作業で、建屋内は連日40℃近い気温で、非常に暑く汗だくになる作業環境。
Sさんも2月の事があったので、できる限り水分補給は意識して行っていたそうです。
今週の火曜日。
Sさんは出社してきましたが、意を決したように私にこう言ってきました。
「びだくんさん、ちょっと頭がフラフラするし気分も悪いんです」と。
私は『仕事で体を壊すのは馬鹿げてる』という考えなので、すぐに帰宅して休養するように言いました。
帰宅する前に、少し話をしました。私は熱中症を疑いました。Sさんにも「熱中症じゃないですか?」と聞いたんです。
Sさんの返答は以下のようでした。
Sさんはエアコンが苦手らしく、夜もエアコンをつけずに寝ている、仕事中は熱中症に気をつけるためにスポーツドリンクを飲んでいる、等々熱中症とは違う、と言いたげな返答。
どうしても熱中症と認めたくない感じ。
そのSさんに私が追い打ちをかけるように
「年をとってくると、若いときのように無理はきかんようになるから、自覚しないと」
と言ったもんだから、更に頑なに『熱中症ちゃうねんアピール』が続いたので、早々に帰宅して静養してもらいました。
それから2日間、寝込んだようです。
今日、出社してきたので、静養中の様子を聞きました。
すると、体調不良になった当日、車で帰宅途中、目がチカチカし、気分が悪くなったので、路肩に車を停めてしばらく休んでから帰ったと。
病院で診察してもらうと、『脱水症状』だと言われたそう。
最近では1日にトイレは2回ほどしか行かなかった、とも言っていました。
私からしてみればトイレの回数が1日に2回なんてありえない、と思うのですが本人は長年トイレの回数が少ない生活をしていたようなので、おかしいと思わなかったそうです。
本人は『脱水症状』と言われた、と言っていましたが、どうも『軽い熱中症』だったようです。
熱中症の怖いところは軽症状態だと無理をすれば『動ける』ところです。
『少しくらい調子が悪いくらいで仕事を休んで周りに迷惑をかけられない』という心理になり、無理をしてしまい、重症になってしまうんです。
それも時間を置いて『重症』になることもあるので、非常に注意が必要になります。
現に、Sさんは2日間発熱し、体が動きにくかった、と言っています。
Sさんには何度も言っていますが、再度言いました。
「仕事で体を壊すのは馬鹿げてる。自分の体を第一に考えてください、と」
するとSさんは
「今までいろんな会社で働いてきましたが、そんな事を言われたことがないので、無理してしまいました。今回、その言葉が嘘じゃないと分かりました」
と、しみじみと言っていました。
皆さんも、『熱中症』には十分お気をつけください。