私は今の仕事についてから、いろんな『初めて』の言葉を聞くことになります。
以前、こんな記事を書きました。
『馬鹿穴』っていう言葉は聞いたことがありましたが、日常的に使うことはありませんでした。
今回ご紹介する『マンガ書いといて』は、聞いたことがありませんでした。
仕事中に『これ、マンが書いといて』と言われたらどうするでしょうか?
マンガ?なんで仕事中にマンガ書くの?と思い、初めて聞いた時は微笑んでしまいました。
すると、『マンが書いといて』と言った先輩は、ムッとした顔で
「何がおもろいねん!真剣に仕事せぇ!!」
と怒っていました。
いやいやいや、マンガ書くなんてしたこと無いし、それにマンガを書くような仕事内容ちゃうやん、と思って、どうしていいのか分からず”フリーズ”状態に。
この『マンガ書いて』と初めて言われたら、たいていの人が思うであろう、あの「少年ジャンプ」などに連載されている『マンガ』を思い浮かべるでしょう。
私もその『マンガ』を思い浮かべました。
仕事内容は、鉄を相手にし仕事で、おおよそ『マンガ』を書くような仕事ではありません。なんにもストーリー性のあるような出来事も無いですしね。
ギャグマンガなのか恋愛マンガなのか、それさえも想像できないような状況で言われてしまいます。
それで、先輩にムッとされた時に聞いてみました。
「マンガって、あの少年ジャンプのマンガですか?」って。
すると
「アホかっ!マンガはマンガやんけ!!」
と取り付く縞もありません。結局その先輩は私を現場ハウスに戻るように指示するのでした。(その先輩は、私が現場ハウスに戻っている間に『マンガ』を書いたようです。ケチくさい先輩です。)
現場ハウスに戻り、優しそうな先輩をつかまえ、現場でのやり取りを話し、『マンガ』について聞いてみました。
すると、その『マンガ』というのは、スケッチ(ポンチ絵)のことなんだ、ということを教えてもらいました。
それならそう言ってくれれば理解できるのに、と憤慨していると、その優しい先輩は
「この業界では『マンガ』という言葉を使うから、それに慣れておいたほうがいい」
とアドバイスをしてくれました。ホントに優しい。
謎は解けましたが、私には大きな問題があるんです。
それは私には『絵ごころ』がない事。
ホントに壊滅的に絵が下手。
スケッチを書け、と言われても全く自信のない仕事なんです。
当時はデジタルカメラではなく、フィルムを使うカメラでしたので、気軽に写真を撮って見せれる状況でもないので、現場の状況をスケッチする事は非常に重要な仕事なんです。
ですので、デジタルカメラが普及するまで私は『マンガ』を書くことから逃げ回っていました。
折よく後輩が出来てきて、初めて『マンガ』という言葉を聞いてから間を置かずに後輩に指示できる状況になったので、後輩たちに頼んでいました。
今は写真もすぐに印刷できるし、報告書にもその日のうちに貼り付けられます。
便利な世の中になりました。
私も今では当たり前のように『マンガ書いて』と言っています。